シラスウナギが採れないのでニホンウナギが絶滅の危機とかいう謎な主張について。

生産統計読めばいいのに。

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出典:うなぎの漁獲・生産量 | sentence http://sentence.co.jp/2014/06/27/%e3%81%86%e3%81%aa%e3%81%8e%e3%81%ae%e6%bc%81%e7%8d%b2%e3%83%bb%e7%94%9f%e7%94%a3%e9%87%8f/
FAO Fisheries & Aquaculture - Species Fact Sheets - Anguilla japonica (Temminck & Schlegel, 1847) http://www.fao.org/fishery/species/2988/en


ニホンウナギの養殖が本格化するのは1970年代以降のことで、現在のように頻繁に食卓に上がるようになったのは80年代以降のこと。同時期、むしろシラスウナギの漁獲量は減少している。

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シラスウナギ採捕量の推移(2002年までは漁業・養殖業生産統計年報による。2003年からは水産庁調べ)出典:国際的な絶滅危惧種となったウナギを救う、二つの「劇薬」 | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト http://nationalgeographic.jp/nng/article/20140618/403225/index4.shtml

これは乱獲による資源枯渇が原因ではなく、シラスウナギ漁の目的が直接消費から養殖向けの種苗生産に変わり、漁獲方法も大きく変化したのが理由。

養殖ウナギが一般化する以前はシラスウナギはチリメンジャコのように消費されていた。ウナギの本格養殖が広まったことで稚魚の捕獲は減少し、むしろニホンウナギの資源量増加に寄与したと考えられる。
ちなみに農水省統計によれば天然ウナギの漁獲量は減り続けているが、こちらの考察にもあるように、これは単純に天然ウナギが総じて養殖モノに比べて品質が劣り、美味しくない(=売れない)から捕らなくなっただけ。これを根拠に天然ウナギの資源枯渇を主張するのも無理筋。

シラスウナギの乱獲が行われていた1950〜60年代のデータにより、年時によって遡上する稚魚の数にかなりバラつきがあることがわかる。現状の養殖ウナギの種苗生産に使われているシラスウナギの捕獲量はこの変動幅以下に収まっており、天然ウナギの資源量にはほとんど影響ないものと推定できる。